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神戸クラシック物語
クラシック事変
  • クラシック入門シリーズ
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■ 1,000円札

 オーケストラの仕事は団によって大体決まっているので、練習何日、本番はいついつ、曲はこれこれ、という具合に仕事の依頼を受けると概ねそのギャラは聞かなくても見当がつく。あの団体の仕事だったら練習が8千円で本番が1万5千円だ。とか、全部で4万円だ。とかいう具合である。特別のことや特別の人でない限りオーケストラや室内楽で1回のコンサートが10万以上のギャラにはならない。
ただ、個人的に頼まれる仕事はこの限りでなく、ほんの数千円から、ものによっては何十万円というものもないではない。でもその多くは3万から5万円くらいのことが多い。それより多いと少しうれしいし、それより少ないとちょっと割が悪いかな・・・・と思う。
最近でこそこんな仕事をギャラはいくらで、という依頼の仕方も多くなったが、以前はギャラを聞いてから受ける受けないを決めるのも失礼かなと思って、よく無条件でOKした。あるとき「今度の仕事、5万だって」といわれて、私は「うれしい!」と言ったら、友人は「1人1万かい?」といやな顔をした。そのときは1人5万で、しかも簡単な仕事だったので、とてもうれしかったことを覚えている。

 しかし、こんな話しもある。
とある近所の音楽教室のクリスマス会に弦楽四重奏で雇われた。仲間と一緒に会場に乗り込んで、コンサートが始まった。子供たちとの共演コーナーである。クリスマスソングを一緒にやるのだが、私が打ち合わせをいい加減にやったのだろう、何曲かやっているうちに、ある曲の譜面がない!ということになった。こちらはプロである。譜面がないからできないとは意地でも言えず、4人は譜面なしで適当にハーモニーを考えながら・・・・無事終了(?)した。やれやれと「謝礼」を受け取るとなんと意外に分厚い。シメシメと4人でレストランで大いに食したあと、さあ「ギャラをわけようぜ」と開けてびっくり。出てきたのは1,000円札が12枚だった。やられたとしかいいようがない。万札だと疑わなかった方がわるいのか・・・・。でも一曲適当にやったし、おいしい食事もしたし、こんなこともあるか、とみんなで大笑いした。

 しかし、泣くに泣けない1,000円の話がある。
私の友人が先輩のコンサートの手伝いにはるばる金沢からやってきた。コンサートが終わって、別れ際で少し分厚い封筒を先輩からいただいた。「先輩も気を使ってくれたな」としみじみ思い、タクシーの中で中身をあらためると、1,000円札が20枚だった。あまりの腹立たしさに、彼はそれを全部飲み代にして金沢まで帰ったそうだ。
最近、2・3度商店街の仕事をボランティアでやったときにも、大した仕事でもなかったが、少し分厚い封筒をいただいた。このときは喜ぶ前に「1,000円札じゃないでしょうね?」とちゃんと確認している自分がいた。

 

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