■ 指揮者って簡単?
指揮は間違っても変な音がでない。“♯”や“♭”がどんなにたくさんついていても関係ない。アマチュアの方でもいろんな人がやっている。某有名企業の会長も、有名なプロフェッサーやドクターも・・・。
今回は指揮者をやるということにまつわるお話しである。
本当はその日の仕事ではチェロを弾くはずだった某氏が、指を痛めて弾けなくなってしまった。しかし、そのギャラを当てにして借金をしてしまっていたので、どうしてもその日の仕事をやらないと大変なことになる・・・・と泣きついた。そこで「指揮ならできるだろう。指揮者をやれ!」ということになった。ところが、練習してみると2拍子と3拍子の振り分けすらなんとなく怪しい。が、借金のためならやらねばならない。曲が始まる前にコンサートマスターに「3拍子はこれでよかったかな?」などと平気でしゃべっているのをみて、主催者側の係員が心配そうにしているのもお構いなしに、彼はひとつ一つの振り方を教わりながら、無事(?)コンサートを終了し、一人分のギャラを受け取った。
こんなこともあった。
私があるアンサンブルを振ったときのことである。
「ソロのところは指揮しないで見ているから」といって、腕を組んで見ていた。演奏があまりに見事だったので、次の合奏のところを振り忘れてしまった。もちろん、オーケストラはコンサートミストレスの合図一発、ちゃんと演奏に入ってくれて事なきを得たが、後でかなりバツが悪かった。平謝りであった。
またあるホールでのこと。
あと2分くらいで曲が終わるという時に第1ヴァイオリンのソロパートの方の譜面が風で飛んだ。あわてて拾ってあげると、今度は第2ヴァイオリンのソロの譜面が落ちた。またあわてて拾おうとしたら、また、第1ヴァイオリンの譜面も落ちた。仕方がないので私は指揮を止めて2枚の譜面を両手に1枚ずつもって、首だけで合図をしてとうとう曲を終えた。私が振らなくてもオーケストラは大丈夫ということを知らしめる結果となってしまった。