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神戸クラシック物語
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■ 兵(つわもの)伝説

 JR山陰線で「福知山」という駅がある。京都府下の比較的大きな駅である。
かつて、その福知山でのコンサートに出かけたときのことである。当日チャイコフスキーのコンチェルトを独奏する予定のコンサートマスターのO氏と一緒に行く約束をした。京都駅何時何分の一番後ろの車両に乗合わそうということになった。
ところが、定刻になっても彼は現れない。「おかしいな・・・この列車に乗らないと間に合わないのに・・・」と思いながら、私は乗り込んで福知山に着き、会場まで行ったが、彼はまだ来ていない。

 結局、彼はリハーサルぎりぎりの時間に汗まみれで飛び込んできた。
後で理由を確かめてびっくり!
彼は寝坊して、私の乗った列車のすぐ後の列車に飛び乗ったらしい。私の乗った列車は急行だったが、彼の乗ったのは悲しいことに福知山駅を通過する列車(たぶん特急)だった。
彼は「どうしても自分が行かないとコンサートが成り立たないので、たのむから福知山に停車してくれ」と車掌に懇願した。もちろんそんなことはできるわけがない。それでもかれは引き下がらず、あまりに熱心にたのみ続ける彼を見て、車掌もなんとも気の毒に思ったのだろう。
「福知山駅で最徐行してやるから、車掌室から飛び降りろ」という、ありがたい沙汰(?)が出た。そして、時速5kmくらいで福知山駅を通過してもらい、決死の覚悟で飛び降り、着地も見事にきまり、コンサート会場に参上できたらしい。
JRがまだ「国鉄」であった頃のお話である。

 

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