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神戸クラシック物語
クラシック事変
  • クラシック入門シリーズ
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■ いずこも新入りはつらい  

 音楽学校を優秀な成績で卒業し、厳しいオーディションで他人を蹴落として、やっと決まった入団であるが、ここから本当の戦いは始まる。まず、半年くらいでどのオーケストラも団員投票とかで新入りをテストする。 技量はもちろんのこと、あいさつをちゃんとするか、先輩に失礼はなかったか、素行は乱れていないか・・・・・・。とにかく行動のすべてが審査の基準になるのだからたまらない。特におばさん(失礼!)集団に目をつけられたりすると、集団でバツをつけられるからたまったものではない。  
入団して半年くらいはさすがに毎日緊張するものだ。だから投票が済んだら態度が急にでかくなる奴も大勢いる。 しかし、投票さえ済めば、間違おうが何しょうがメッタなことではクビにならないのも事実である。だから、お近くのオーケストラで、あんな下手くそクビになれというようなメンバーがのうのうとやっていられるのも、音楽的ミスでクビになったやつはいないという現状があることの証左だと思う。もっとも欧米と違ってクビになった人の行き場がないという社会的状況下ではクビにしにくいというのが本当のところかもしれないが・・・・。

 

■ ロープー  

 昔からミュージシャンとやくざは言葉をひっくり返したり、とかく隠語が好きだ。  
「ピアノはヤノピ」「チェロはローチェ」「コーヒーはヒーコ」「めしはシーメ」といった具合だ。「ロープー」はしたがってプロのこと。 ちなみに数字も「1・2・3・4」を「C(ツェー)・D(デー)・E(エー)・F(エフ)」という風な言い方をする。それで「今日のゴトシのラーギャ、E(エー)マンか?」「いやD(デー)マンG(ゲー)センだよ」というような会話が成り立つ。 『今日の仕事のギャラは3万か?』『いや2万5千だよ』という意味になる。  
それはさておき、まず、びっくりするのが、みんなボウイング(弓の上げ下げ)を間違えないことである。(ダウン:左から右へ)とV(アップ:右から左へ)というマークと(スラー:一弓で音を切らずに)というマークを使って指示は全部楽譜に記入してあるので、そのとおりやれば全員ちゃんと揃えられることにはなる。しかし、音楽学校くらいではそんなにやかましくボウイングのことをいわれることはない。しかし、オケマンの教え第1条は「たとえ音を間違ってもボウイングは間違えてはならない」のだ。これには新入りは苦労する。  
もうひとつは譜めくりのタイミング。これがまた難しい。弦楽器は通常二人で一つの譜面を見る。そして舞台に遠い方の人がめくるのである。そのペアのことをプルトと言い、譜めくりする人が内側(イン)、舞台側の人を外側(アウト)と言う。 イン側でなるべく最後まで弾いていようとするとページのめくりが間に合わないし、かといってあまり早く弾くのを止めるのも手持ち無沙汰でみっともないし・・・・・。こんなことにも慣れるのには2〜3年はかかるものなのだ。 「ロープー」として一人前になるのも大変!

 

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