■ 終わりが二つだ〜・・・どうしよう
有名なドボルザークの新世界交響曲というのがあるが、その第三楽章の最後を指揮者が1小節先に振ってしまったことがある。
楽譜のとおり演奏すると指揮者が振り終わったあとにもうひとつ「ジャン」がある。しかし指揮者はそのひとつ手前で「ジャン」を振ってしまった。一瞬ためらいのあと、オーケストラは完全にふたつのグループに分裂、指揮者派と楽譜忠実派に空中分解してしまった。結果、その楽章の終わりは「ジャン」がひとつのところ「ジャン・・ジャン・・・」とショボイ音が二つ鳴って、思いっきりバツの悪いコンサートとなった。
誰かが入場料返せと言えばおもしろかったのにと私は今でも思っている。
ではどうすればよかったのだろうか?
私なりの理想は・・・・次のおはなしで
■ リーダーシップとチームワークにブラボー!!!
コンサートマスターあるいはコンサートミストレスという言葉はもうご存知のことと思うが、第一ヴァイオリンの一番前に座って指揮者のすぐ隣にいるオーケストラのリーダーのことをいう。男性であればマスターで女性であればミストレス。
コンサートマスターはヴァイオリンのリーダーであるが、実はオーケストラのまとめ役というとても重要な役割を担っている。
以前指揮者は道路標識みたいなものと表現したが、指揮者はオーケストラという車を実際に走らせることはできない。では整然と車を走らせているのは誰か?それがコンサートマスターなのである。道路標識が的確でないと事故が起こりかねないが、いくら道路標識が的確でも運転手(リーダー)がしっかりしていないと整然と車は進まないものである。
実際に音合わせのときにオーボエからアーA(ラの音)の音を吹いてもらってチューニングの合図をするのも、曲の出だしの合図(アインザッツ)を合わせたり、管楽器と弦楽器のコミュニケーションを滞りなく行なうのも彼(彼女)の役目なのだ。ティンパニなど打楽器の動向もちゃんと把握していなければならない。
コンサートマスターがしっかりしていて、お互いの合意がしっかりできていればオーケストラはそう簡単に混乱はしないものだ。
以前ウィーン国立歌劇場でヴェルディのオペラをみたときのこと。
ソロのテナー歌手がオーケストラとずれてしまった。すると指揮者はすぐに気づいて修正しようとし、コンサートマスターや各パートのトップ奏者たち全員のフォローの見事なこと。それはすばらしいリーダーシップとチームワークだった。
残念ながら日本のオーケストラには上手な奏者はたくさんいるが、いいコンサートマスターや各パートトップ奏者にはなかなか出会えないというのが現状ではないだろうか。