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■ シューベルトの「菩提樹」〜 ひとり立ちしてしまった名曲
Dr.トム:神戸市混声合唱団 太田 務
出石出身の訳詞家、近藤朔風(さくふう)の名訳「泉にそいて しげる菩提樹 慕い行きては 美(うま)し夢見つ」で知られるシューベルトの「菩提樹」。まるで自然に生まれ出たような美しく豊かなメロディーは、その民謡調の調べで聴く人を魅惑します。ドイツでは民謡として広く親しまれているこの曲が、「冬の旅」と言う連作歌曲<※1>の5曲目である事を知っている方は、かなりの音楽通であるといえます。
オーストリアの作曲家。600曲を超えるドイツ歌曲、8つの交響曲、20以上の室内楽、オペラやピアノソナタ等の世俗作品の他、6つのミサ曲やモテットなどの宗教曲も残している。
シューベルトが24曲から成る「冬の旅」を作曲したのは亡くなる前年でした。内容は、失恋して村を去り、彼方此方をさまよい歩き、凍てついた冬の景色は全て彼を拒絶し、最後にはどこへとも無く立ち去ってゆく、という暗いものです。シューベルトは全曲を感動的な声で友人の前で歌ったのですが、その物語の陰惨さと音楽の暗さに友人達は当惑してしまったといいます。しかし、その中で「菩提樹」だけは気に入られたのでした。 旅の途中、若者は泉の辺に立つ菩提樹の陰で甘い夢を見、憩います。ある夜、そのそばをさまよい歩き暗闇の中で目を閉じた時、その枝のざわめきは「友よ、ここにおいで。君の安らぎはここで見つかるよ。」と聞こえます。しかし、冷たい風の中、彼はそこを去って行きます。さらにそこから遠く離れた今も、彼には聞こえるのです。「君はここに安らぎを見つけられたのに...」と。 さて、この24曲中で「菩提樹」だけは当初から人気で、一曲で取り上げられる事も多かったようです。そしてシューベルトと同時代の民謡収集家であり、自身も作曲家で「ローレライ」を作曲したフリードリヒ・フィリップ・ジルヒャーがこの曲を編曲し、民謡としてさらに単独で親しまれる事になりました。その結果、一連の歌曲集の一部として機能していた事は関心事にはならなくなったようです。
<※1>連作歌曲:文学的、音楽的な関連性を持つ歌曲の集まり。「美しき水車小屋の娘(シューベルト)」、「遥かなる恋人に(ベートーヴェン)」、「さすらう若人の歌(マーラー)」等が有名。
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内容(「amazon」エディターレビューより) ドイツの新しい世代を代表するバリトンの1人、クリスティアン・ゲルハーエルがシューベルトのリート・チクルスの録音を進めている。第2弾は最高傑作「冬の旅」。凄まじいドラマが描かれている。
シューベルトのリートといえばフィッシャー=ディースカウ。その圧倒的な評価は変わることはない。ここに収められた22曲はディースカウ絶頂期の名唱を選りすぐったものです。「野ばら」「魔王」「セレナーデ」など、有名曲をもれなく集め、シューベルト入門、歌曲入門にも最適な1枚となっています。