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■ なぜか年末に聴きたくなる「メサイア」〜
Dr.トム:神戸市混声合唱団 太田 務
一昔、年末はベートーヴェンの「第九」、もしくはヘンデルの「メサイア」を聴かないと年が越せないような雰囲気がありました。「第九」は8月号のトピックにしましたので、この度はJ.S.バッハと共に後期バロックを支えたヘンデルのオラトリオ「メサイア」について書いてみることにしましょう。 折角ですからお勉強、オラトリオについて説明しましょう。簡単に言えば、「宗教的なお話しが、ある程度規模の大きな音楽作品(管弦楽、独唱、重唱、合唱など複数の楽章から成る)の中で進められていくもので、オペラの様に衣装や動作がつかないものです。オラトリオの中で大事な役割が「レチタチーヴォ(叙唱)」と言われる、話しかけるように歌われる独唱です。そもそもオラトリオ(Oratorio)と語源を同じにするOrator(オーラター)は「演説者」と言う意味で、オラトリオでは独唱者が演説しながら話しが進められていく形を取っています。これを演ずる目的は教育的なもので、例えば聖書の中の出来事を教会に集った会衆に説明したりするものです。因みに日本語では「聖譚(せいたん)曲」と訳されます。
ドイツで生まれ、後にイギリスに帰化。40を越すオペラ、30近いオラトリオを作曲。「水上の音楽」等の管弦楽曲も有名。他にも多くの声楽曲、器楽曲を手がけた。
ヘンデルの「メサイア」でしたね。メサイアとは「救世主=イエス・キリスト」のことで、キリストの生涯を題材にしたものです。ご存知の様にキリストは新約聖書にしか登場しませんが、歌詞は旧約聖書の部分からも予言と言う形で採られています。この50楽章にも及ぶ作品の全体は大きく3部(1:預言とキリストの誕生、2:受難と最後の審判・救いの完成、3:死者の復活と永遠の命)に分かれています。有名な「ハレルヤ・コーラス」は第2部の終曲です。 まるでものに取りつかれたように、ヘンデルは全曲をたったの24日で作曲しました。「ハレルヤ・コーラス」を作曲し終わったヘンデルの目からは涙がとめどなく零れ落ち、「私は正に天国と偉大なる神そのものを目の当たりにした」と言ったそうです。初演は、上記の様に宗教的な環境と目的でオラトリオと言うものは演奏されるべきでしたが、「幾つかの刑務所で服役中の受刑者の救済のため、そしてステファン通りのマーサー病院とインス・クウェイの慈善診療所の支援のため」にアイルランドのダブリンで、イースター(復活祭)の時期の1742年4月13日に行なわれました。
さて、良い作品にはつきものですが、このオラトリオも編曲される運命が待っております。モーツァルトは伴奏のバロック・アンサンブルをクラシック・シンフォニーの様にアレンジしました。何が大きく変ったかと言うと管楽器が元のものより充実し、結果としてコーラスの労働力がほぼ倍になった事でしょうか。私も留学中にモーツァルト版を歌う機会に恵まれましたが、まるでオーケストラを相手に協奏しているようで大変でした。変り種の編曲としては私が大学卒業ごろ聴いた「ヤング・メサイア」と言うポップス風のアレンジものがありましたね。
毎号、記事内に登場する名曲をご紹介します!
<CDについて> まずは、メサイアを聴いてみたいという方にお薦めなハイライト版。有名な「第2部 コーラス ハレルヤ」を含む22曲を収録しています。指揮:カール・リヒター、合唱:ジョン・オールディス合唱団 他、演奏: ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
エディターレビュー 内容(「CDジャーナル」データベースより) 京都賞を受けて日本との絆を強めたアーノンクール。活動の充実ぶりが反映されて、再録音への禁を解く傾向が強まっている。82年録音に次いで2度目の「メサイア」はDSDライヴ収録(ハイブリッド盤)。微細なニュアンスの磨き上げが極上の自然な響きに結実している。
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